【元文学部が解説】ミスチル斜陽の歌詞の意味【太宰治と桜井さんの夢の共演】

Mr.Children
Mr.Children「斜陽」はこんな曲
  • 郷愁と憧憬
  • 戦後と現代
  • 現代の太宰こと桜井さんと太宰治の共演
  • 斜陽を端的にまとめた曲

今回はREFLECTIONの3曲目「斜陽」を考察していきます。実は僕は以前にも》もしも三島由紀夫が生きてたら桜井和寿のことが大っ嫌いだったと思うこのような記事を書いています。

この記事の中で、桜井さんと太宰治と似ているという話をしています。

それでよくよく考えると、斜陽という曲、文学を通して僕の大好きな二人が共演している。これはすごいなということで改めてテンションが爆上がりしている次第です。

さて、それではMr.Childrenの斜陽を見ていきましょう!

斜陽の歌詞とファーストインプレッション

歌:Mr.Children
作詞:KAZUTOSHI SAKURAI
作曲:KAZUTOSHI SAKURAI

「夏が終わる」 その気配を
陽射しの弱さで無意識が悟るような
時の流れ 音をたてぬ速さで
様々なものに翳りを与えてゆく

心の中にある 青い蒼い空
今尚 雲一つなく澄み渡る
陽気な声がそこには響いてて
青空の下 人は集い笑ってる

ビルの影が東に伸びて
家路を辿る人の背中が増えてく
その営み それぞれの役割を
果たしながら 背負いながら歩いてく

憂いをおびたオレンジ色の空
眩しさは消えてもまだ温かい
懐かしい歌をふと口ずさめば
愛しき人の面影がふと浮かび上がる

心の中にある 青い蒼い空
今尚 雲一つなく澄み渡る
その眩しさに また目を細めて
今日も僕は大空に手を伸ばしてみる

和久井大学のファーストインプレッション

これは非常に難解な曲だと思います。

REFLECTIONの中でも影が薄い曲ですが、その理由は単に歌詞の難解さにあると思います。もう少し大衆向けの歌詞であれば、この曲のファンももっと増えていたと思うのですが。

しかし、この曲といい、蜘蛛の糸といい、文学シリーズは非常にいい。

他にも郷愁にかられる、ノスタルジックだなあと思うMr.Childrenの曲として、SINGLESなどもそうかなと思います。やはりそうなれるとSINGLESの方がファンは多いですよね。

SINGLESの方が歌詞がわかりやすいですが。

人気記事 »ミスチル「SINGLES」は失恋の曲ではない【歌詞の意味を考察】

たったの54文字で説明された太宰治の「斜陽」とそれに思いを寄せる桜井氏

「夏が終わる」 その気配を
陽射しの弱さで無意識が悟るような
時の流れ 音をたてぬ速さで
様々なものに翳りを与えてゆく

まず冒頭のこの部分。54文字で太宰治著の「斜陽」を表現しているように思えます。

太宰の斜陽を知らない方のために簡単にあらすじだけをかなりザクっとお話しますと、第二次世界大戦後、貴族が没落していく様を描いた作品です。

この作品を読むと、1Aが何を言っているのか、すごくよくわかります。読んでなくても分かるように解説します。

「夏が終わる」と「様々なものに翳りを与えてゆく」

これは見事だなと思いました。

第二次世界大戦というのはみなさんご存知の通り、1945年8月15日に終わりました。ちょうど夏真っ盛りだったのですが、日本が復興に向かう準備を整え終わった頃というのはちょうど、「夏の終わり」だったはずです。

夏、戦争が終わり、日本が復興に向かっていく。

そうした中で、戦前に幅を利かせていた貴族というのはどんどん没落していく。財閥解体とかもありましたし、そもそも日本の当時の金持ちというのは搾取される対象だったんですよね。

で、「様々なものに翳りを与えていく」と言っているのは、太宰著の斜陽の中の主人公とピッタリ当てはまります。

要するに、1Aというのは、太宰治の斜陽をたったの54文字で説明しているということになります。

と、同時に、「戦後の日本」というものも54文字で表現しているということになります。

「心の中にある 青い蒼い空」とは一体なんなのか

心の中にある 青い蒼い空
今尚 雲一つなく澄み渡る
陽気な声がそこには響いてて
青空の下 人は集い笑ってる

さてここらあたりからこの歌詞は難解になっていきます。

その1つの理由は主語が誰なのかがわからなくなるからです。

「心の中にある 青い蒼い空」とは誰の心の中にあるものなのか。それを解明しない限り、この歌詞が何を言っているのかは一生理解できません。

ということで、僕はこの主語が誰なのかを考えます。

候補01・桜井さん

まずもっとも簡単なのがこの歌詞を書いている桜井さんをこの主語に当てはめることです。で桜井さんの心の中にある青い空、雲一つなく澄み渡っている・・・・

無理はないが前後の文脈からして、あまりに唐突な印象を受ける。

そもそも1Aは太宰治の斜陽のまとめであり、戦後の日本人の様子を描いている。それなのに突然、桜井さんの心の中にある青い空の話というのは、あまり筋が通らない。

候補02・戦後の人

戦後の人。

復興の中で力を持ち始めた人、復興の中で没落していった人。戦後というのはまさに混沌を極めた時代です。

そんな時代でも、人々の心の中には青い空があるのか。

陽気な声がそこには響いてて
青空の下 人は集い笑ってる

なるほど、これは想像に容易です。戦後の人々は日本が戦争に負けた。混沌を極めた時代だ。だけれども、心の中には青空が広がっている。雲一つない。生きていかねばという強い意思すら感じる。なんか、文脈的には分かる気がする。

候補03・太宰治

太宰。

そもそも太宰というのも戦後を生きた人ですから、「戦後の人」に含めてしまってもいいのかもしれません。だからひょっとすると太宰なのかもしれない。ただ。太宰に青空は似合わない。。。

和久井大学の見解としては、まずここは「戦後の人々」にしておきます。

時代は戦後から復興を遂げた現代日本へと推移していく

ビルの影が東に伸びて
家路を辿る人の背中が増えてく
その営み それぞれの役割を
果たしながら 背負いながら歩いてく

さて、キーワードは「ビル」です。

戦後、日本ではどんどんビルが建っていきましたね。ということで、これはもう復興からかなり時間が建っていると考えられます。

それこそ東京オリンピックとか、その辺、いやもっと後の時代でもいいかもしれません。

つまり2A以降は現代についてを歌っています。

郷愁をもっとも感じさせる歌詞と「過去への憧れ」

憂いをおびたオレンジ色の空
眩しさは消えてもまだ温かい
懐かしい歌をふと口ずさめば
愛しき人の面影がふと浮かび上がる

この曲がもっともノスタルジックに思えるのは、まさにこの部分なのではないかと思っています。もちろんメロディであったり、全体の雰囲気がノスタルジックなのですが、ここにきて「郷愁爆発」という感じがします。

「憂いをおびたオレンジ色の空」

「眩しさは消えてもまだ温かい」

眩しさとはなんなのか。これは青空を指すのでしょうけれど、青空とはじゃあなんなのか。それを考える必要があります。

人が笑っている場所、それが青空の下。

人が集まって笑うようなことはなくなっても、まだこの国には温かさ、人情というものは残っているはずだ、とそう言いたいのではないかと思います。

懐かしい歌をふと口ずさめば
愛しき人の面影がふと浮かび上がる

懐かしい歌とは太宰のことではないか説

僕はこれを見ていて、懐かしい歌というのは、太宰治のことなのではないかと思いました。

人が集まって笑いあうことはなくなってしまったんだけれど、今でも太宰とか、古き良き日本というものをこの世に残した人々の作品に触れると、郷愁にかられるんだよな・・・なんて桜井さん自身のぼやきにも聞こえます。

最後の「青空に手を伸ばす」僕とは、桜井さんこと

心の中にある 青い蒼い空
今尚 雲一つなく澄み渡る
その眩しさに また目を細めて
今日も僕は大空に手を伸ばしてみる

さて、太宰治などの古き良き日本を残した作家とかに触れると郷愁にかられる。昔への憧れがふつふつと湧いてくるよ・・・とぼやいた桜井さん。ですが、「今日も僕は大空に手を伸ばしてみる」と言っています。

要するに、昔に憧れを抱いてはみるものの、桜井さん自身は今を捨てたわけではない。

今でも、青空の下に人々が集まり笑いあう、温かい社会があることを信じてやまない。

昔はよかったとは言うけれど、今だっていいはずだ。

と、そう桜井さんが言っているように思います。

同じ歌詞でも主語が違うから難解に思える歌詞

最初の「心の中」と最後の「心の中」の主語が違っているので、難解に思える歌詞でした。

が、かなり細分化して見てみると手がかりは多く、読み解ける楽曲だと思います。

これは少なくとも僕個人の解釈ですので、参考になればと思います。

そもそもこの曲はオマージュですので、ここまで深読みする必要はないのかもしれませんが、ただ僕にはここまで、これ以上に深読みする必要がある楽曲だと思えてなりません。

以上、明日はMelodyを考察していきます!

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